一緒に帰ろう
未だ薄く黒煙を上げている大地の上で、ジェオはところどころ煤けた白い瓦礫を慎重に取り除きながら、”イーグル”を探し回っていた。 ガラッ、と何処かで硬いものが崩れた音がする。その音に勢いよく顔を上げ、…
ジェオ×イーグルのSS一覧です。
たまに片方しか出て来ないものもありますが、全てのお話においてジェオイー前提となっています。
未だ薄く黒煙を上げている大地の上で、ジェオはところどころ煤けた白い瓦礫を慎重に取り除きながら、”イーグル”を探し回っていた。 ガラッ、と何処かで硬いものが崩れた音がする。その音に勢いよく顔を上げ、…
会ったら言いたい事は山程あった。文句も、愚痴も、恨み言も。何せ百ウン十年ぶんだ。絶対に怒ってやる。 ・・・・・・そのつもりだったのに。 「お疲れ様でした」 懐かしい声に目が覚める。 とうに擦り切れたと思っていた、積もって…
別段深い理由はなかった。どうせもうすぐ終わるのだからと、当たれる相手がいないから自分に当たるしかない、と無意識に自棄になったのかもしれない。 とにかくイーグルは一度も吸ったことがない煙草を何となく吸ってみようと思い立ち、…
「ほれ」 ジェオの部屋のテーブルに並べられた色とりどりの菓子、ついでに添えられた湯気の立つカップ。 たった二人で宴会でも始めるのかという様相に、イーグルは小さく笑った。「本当に全部くれるんですか」 並んだ菓子はジェオが部…
「何を祈ったんだ?」 境内に並ぶ露店で買った、”リンゴアメ”というお菓子を片手に、イーグルは満開のサクラを眩しそうに見上げていた。 彼はジェオの問いに舐めていたリンゴ飴から口を離すと、難しい顔でそ…
カラン、と馴染みのない音が頭上で響く。 ジンジャという、神を祀るらしいこの場所は、信仰に縁のない自分達にもどこか神聖な空気を感じさせた。 オートザムは神話や宗教を持たない。昔はあったらしいが、長く緩やかな滅びの気配に蝕ま…
薄暗い寝室に、重たい咳の音だけが響いている。 畳みかけのマントの端がベッドの縁から垂れ下がり、イーグルが咳き込む度、その振動でマントの先端を飾る金属が不規則に床を鳴らした。 ベッドに凭れるように座り込み、口を押さえて咳き…
「・・・すみません、少し外します」 カタン、と司令席から立ち上がると、そう短く告げてイーグルは艦橋を出て行った。 今は戦闘配備中ですらなく、司令官であるイーグルが席を外したからといって問題がある訳ではなかったが、通り…
「イーグル、もうやめとけ」 「んん・・・」 軍人にしては白く、細長い指が琥珀色の瓶に伸ばされるのを、ジェオはやんわりと止めながら、素早く封の切られていない酒瓶を取り上げた。 あ、と小さく声が上がったが聞こえなかったこ…
スパロボT49話の出撃選択直前〜バトル開始前までの捏造妄想。 「行きましょう、ヒカル。ランティスを・・・───」 不意に、イーグルが言葉を途切らせる。「イーグル?」 どうしたのかと光が問うよりも早く、堪えきれないというよ…