君は僕の、
『湯たんぽ』の続き。 どこかで甘い香りがする。水底に沈んでいた意識が導かれるようにゆっくりと浮上するのを感じて、イーグルはふと目を開けた。緩慢に二度、三度と瞬けば、視線の先には自分の部屋ではない―――しかし見慣れた天井…
『湯たんぽ』の続き。 どこかで甘い香りがする。水底に沈んでいた意識が導かれるようにゆっくりと浮上するのを感じて、イーグルはふと目を開けた。緩慢に二度、三度と瞬けば、視線の先には自分の部屋ではない―――しかし見慣れた天井…
宥めるように、或いは幼子を寝かしつけるかのように額の辺りを撫でていた手が不意に離れる。その熱を追うように思わず目を開けると、ベッドに横たわる自分をすぐ傍で見下ろしていた明るい新緑の瞳が「こら」と小さく笑った。再び大きな…
フォロワーさんの素晴らしいイーグル誕生日漫画から勝手に派生(捏造)した小話。 「その綺麗な顔と声でセックスとか言うなよ・・・」 直球で夜のお誘いをかけたイーグルに、呆れと恥じらいが入り混じったような、何とも複雑そうな表情…
『ギムレットには早すぎる』からの『逆光』からのその後みたいな。 人も獣も寝静まり、星のざわめきさえ聞こえてきそうな静寂が支配する夜。微睡むような月の光を受けて淡く輝くセフィーロ城は、どこか神聖さを纏って大地に佇んでいた。…
オートザム、深夜。 一年中暗く分厚い雲に覆われたこの国の夜には、月もなければ星もない。閉塞感すら感じる深く濃い闇の中、空洞化した惑星の内部に抱かれた金平糖のような水晶体ーーー国民の居住区であるドームが仄かに光を放ち、僅か…
フォロワー様のツイートから捏造したクリスマス?ジェオイ。 “欲しかったんだ”と、彼がそう言ったから。 ゜+.――――――――――――――――.+ ゜ 何度目かに降りたトウキョウの街は、至る所に赤と…
※『ギムレットには早すぎる』の後日談。Fate/zeroのセイバーの「滅びの華を誉れとするのは武人だけだ」って台詞が好き過ぎてクレフさんに言わせたかっただけの話。――――――――――――――――――――――― ふと。本当…
全ての戦いが終わり、地球からセフィーロへと帰還の途に就いたNSXの中で、イーグルは倒れた。 デボネアとの決戦の中、あの場で戦っていた者達に齎されたセフィーロの人々の祈りの力は、彼に用意された砂時計の勢いを緩めはしてくれた…
「何を祈ったんだ?」 境内に並ぶ露店で買った、”リンゴアメ”というお菓子を片手に、イーグルは満開のサクラを眩しそうに見上げていた。 彼はジェオの問いに舐めていたリンゴ飴から口を離すと、難しい顔でそ…
カラン、と馴染みのない音が頭上で響く。 ジンジャという、神を祀るらしいこの場所は、信仰に縁のない自分達にもどこか神聖な空気を感じさせた。 オートザムは神話や宗教を持たない。昔はあったらしいが、長く緩やかな滅びの気配に蝕ま…