カラン、と馴染みのない音が頭上で響く。
ジンジャという、神を祀るらしいこの場所は、信仰に縁のない自分達にもどこか神聖な空気を感じさせた。
オートザムは神話や宗教を持たない。昔はあったらしいが、長く緩やかな滅びの気配に蝕まれた国で、人々はいつしか祈ることを忘れてしまった。
教えられた作法に則って、定められた数の手を打ち、頭を下げ、祈る。
ちらり、と横目で見遣ると、イーグルは手を合わせて静かに目を閉じていた。
暖かな陽光を受ける柔らかな色合いの髪が、端正な顔立ちに影を落とすその様は、ジェオには名も知らぬ神よりもよほど神聖なものに思えた。